◎ 完全支配関係法人間の譲渡取引
(グル−プ法人税制)



完全支配関係法人間で、一定の資産の譲渡があった場合
− 平成22年10月1日以後に行われる譲渡 −




◆ 制度の概要 ⇒ 譲渡損益の繰延べ


● 内国法人(注1)が一定の資産(注2)を完全支配関係がある他の内国法人に譲渡した場合

(注1) 内国法人 ⇒ 普通法人 又は 協同組合等に限る

譲渡した事業年度会計上の処理税務上の処理
 
譲渡した法人
  • 譲渡損益を計上
  • 申告調整
     譲渡益 → 別表4減算(留保)
            別表5(1)マイナス

     譲渡損 → 別表4加算(留保)
            別表5(1)プラス
     
    譲受けた法人
  • 時価で資産計上
  • 申告調整   なし  



    ≪例≫
    A社所有の土地(簿価100)を完全支配の子会社B社に150で譲渡した場合

    譲渡時
    の処理
    会計上の処理税務上の処理
     
    譲渡
    法人

    (A社)
    現金預金 / 土  地
      150     100
          土地売却益
              50
    申告調整
     別表4(留保)
      完全支配関係法人間の損益の減算調整額 ▲50
     別表5(1)
      譲渡損益調整資産の譲渡利益額  ▲50
     
    譲受
    法人

    (B社)
    土  地 / 現金預金
      150     150
    申告調整   なし  


    ≪例≫
    B社がその土地をさらに他に譲渡した事業年度におけるA社の申告調整
    税務上の処理


    調

    (A社)
     別表4(留保)
      完全支配関係法人間の損益の減算調整額 +50
     別表5(1)
      譲渡損益調整資産の譲渡利益額  +50


    完全支配関係のある法人間で非適格合併の場合の取扱いは? (→)


    (注2) 一定の資産 ⇒ 譲渡損益調整資産

    譲渡損益調整資産とは?
    下記のうち、譲渡直前の帳簿価額が1000万円以上のもの
    @ 固定資産
    A 土地 (土地の上に存する権利を含む)
    B 有価証券 (譲渡法人において売買目的有価証券であったもの、
     譲受法人で売買目的有価証券とされるものを除く)
    C 金銭債権
    D 繰延資産
    土地等を除く棚卸資産は含まれない
     
    1000万円の判定単位
    @ 固定資産
    建物 1棟 (区分所有の建物にあってはその部分) ごと
    機械装置 一の生産設備 又は一台 若しくは 一基 ( 通常一組又は一式を
     もって取引の単位とされるものにあっては一組又は一式) ごと
    その他 上記に準じて区分する
    A 土地等
    土地等 一筆 (一体として事業の用に供されてる一団の土地等に
     あってはその一団の土地等)ごと
    B 有価証券 その銘柄の異なるごと
    C 金銭債権 一の債務者ごと
    D 繰延資産 通常の取引の単位を基準として区分する




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    100%のグループ企業は、グループ間の資産の移転については、譲渡損益を計上しない
    その資産がもう一度移転する時まで、課税を繰り延べる制度。




    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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